マンション建て替え事例 株式会社マンションデータサービス(2005年8月掲載)
新日鉄都市が借地権マンション建て替えに参画
築50年の借地権付きマンションをを円滑法で再生

借地権マンション「金王町住宅マンション」を建て替え
 新日本都市開発が参画している東京都渋谷区の借地権マンション「金王町住宅マンション」の建て替え事業が動き出す。
 東京都はこのほど、建替え円滑化法に基づく建替組合の設立を許可。これにより、築後50年を経過した81戸の事務所・店舗付き11階建てマンションが、17階建て128戸(店舗1区画併設)に生まれ変わることになった。円滑化法を使って借地権マンションを建て替えるのは初めてのケースだという。

東京都公社が56年に分譲した借地権付きマンション
 同マンションは、JR渋谷駅東口至近の六本木通り沿いに、都の住宅供給公社が56年に借地権付きで分譲した渋谷で最も古い建物の一つ。しかし、老朽化によって排水管からの漏水やエレベーターの突発停止といった事故が相次ぎ、部分的な補修では立ち行かなくなっていた。バルコニーがないため災害時に2方向避難ができず、洗濯機置場がないことや、電気容量が30Aしかとれないことも生活上の支障になっていた。

建替組合が底地権を買い受け、所有権マンションとして建て替え
 建て替えは80年代後半から検討。しかし、事業実現には至らず、新日鉄都市開発は03年に事業協力者として参画した。円滑化法の施行を機に、04年12月に区分所有者総数69人のうち67人の賛成を得て建て替え決議を行い、この8月に渋谷区初の建替組合の設立が認可された。
 建て替え事業のスキームには、円滑化法に基づく権利交換方式を採用した。同マンションは区分所有者が借地権しか持たないため、通常は借地権だけしか権利交換の対象にならないが、建替組合が底地権を買い受けることで底地権を権利変換の対象に加え、所有権マンションとして建て替えることを可能にした。

床面積を4割上乗せし2008年に完成
 新しい建物は、従前の延べ床面積を4割上回る7172u。住戸は30〜35uだった従前建物に対して、25〜40uの8タイプを用意する。完成は08年の予定。
 新日鉄都市開発はこれまでに5件の建て替え事業を成功させており、ほかに都内で3件の事業に着手中。今年4月には社内に建替推進グループを設置済みで、当面年間50億円程度の売り上げを目指している。(住宅新報2005.8.23号より掲載)

項目 建替え前 建替え後
名称 金王町住宅
敷地面積(u) 660 660
延床面積(u) 5,043 7,144
建物階高 11×1 17×1
戸数 81 124
平均面積(u) 33 37
峻工 1956年 2008年
事業主 東京都住宅供給公社 新日鉄都市開発
円滑化法    東京都渋谷区渋谷